ペットには生涯様々な病気にかかるリスクがあります。中には治療をするために手術をしなければならない病気もあります。ベッドに手術が必要となった時のために、飼い主さんは動物病院で行われる手術の基本的な流れについて把握しておきましょう。

手術前に行われること

手術前には、動物が安全に手術を受けられるかを確認するための術前検査を行います。
この検査では、麻酔に耐えられるか、内臓の疾患などがあるかを確認するため、血液検査、レントゲン検査、超音波検査などを行います。
検査の結果によっては、手術を延期や中止することもあります。
手術が可能である場合、手術の方法や麻酔や合併症などのリスクについての説明が行われます。説明の中で不明な点や疑問があれば、この機会に聞いてください。
手術を行うことが決まった場合、ペットを動物病院に預けます。
手術前の準備では、点滴のための血管の確保、鎮静薬などの準備を行います。
動物の状態によっては、手術の数日前から点滴を行うこともあります。
また、動物も人間と同じように、手術前に絶食・絶水することが必要です。
これは麻酔中に胃の内容物が逆流し、気管に入らないようにするためです。

手術中に行われること

麻酔は動物の年齢や体調に応じて調整され、注射だけでなく吸入によるガス麻酔も行われます。手術中はモニター管理を行い、心臓の状態をリアルタイムで把握し、不整脈の対処ができるようにします。点滴も行われ、麻酔による血圧低下を防止します。手術時間は手術内容や動物の状態により異なり、去勢手術では5〜10分、避妊手術では30〜60分程度が目安です。ただし、手術前後の準備や術後管理も必要となるため、実際の手術室にいる時間はそれだけではありません。

手術後に行われること

手術後の管理は、手術内容や動物の状態に応じて異なります。手術後は、点滴や薬の投与や体温の調節などが行われ、全身状態も監視されます。入院は必要に応じて行われ、去勢手術や歯科処置などは当日に帰ることができますが、複雑な手術やメスの避妊手術などは入院が必要になることもあります。抜糸は縫った部位が癒着するまで時間が必要で、数日後に行われることが多いです。スケジュールは手術前に確認しましょう。

当院の麻酔に対しての考え方

手術には、全身麻酔が用いられることがあります。当院では、ご家族への説明と患者様への配慮を一番に考えた麻酔を行っています。当院で、麻酔を行うのはペットにとってメリットがデメリットを上回ると判断した時のみです。むやみやたらに行うことはありません。
愛犬愛猫など、大切なペットへの麻酔は不安で当然です。まずはお気軽にご相談ください。

麻酔のメリット

ペットの手術に麻酔を用いることで以下のようなメリットがあります。

・ストレスや不安を軽減できる
・手術を正確に行える

全身麻酔を使うことでペットの不安な気持ちを抑えることができるのが一番のメリットでしょう。また、麻酔をかけている間はペットが動かないため。正確に手術が行えるのもメリットだと言えます。

麻酔のデメリット

ワンちゃんの麻酔による死亡率は約0.17%から0.65%であると報告されています。
特に、手術後3時間以内に死亡が多く発生します。これは人間の麻酔による死亡率（0.01%から0.05%）に比べると高い数値です。
代表的な副作用には、内蔵機能の低下、肝機能の低下、血圧の低下、心不全、呼吸困難があります。
麻酔薬の使用量や種類を誤った場合は、これらの副作用が強く出る可能性があります。最悪の場合、全身麻酔によって死亡することもあります。
高いリスクがあるワンちゃんの特徴として、短頭種や小型犬、10歳以上の年齢、呼吸器や心臓に持病がある子が挙げられます。

まとめ

動物病院で行われるペットの手術について大体の内容は把握できたでしょうか？ペットが手術を受けると決まると飼い主さんは不安な気持ちでいっぱいになると思います。飼い主さんの不安な気持ちはベッドに伝染してしまいます。万が一、ベッドに手術が必要となった時に不安にならなくていいように動物病院で行われる手術についてしっかりと内容を把握しておきましょう。

長崎県諫早市の総合動物病院｜たか動物病院